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弓道では、的の中心である「芯」を狙って矢を放ちます。そうすれば、たとえ芯そのものには当たらなくても、的を完全に外してしまうことはありません。実は、これと同じ考え方が語学の勉強にもあてはまります。
学校の勉強で中国語のテストを受けるなら、当然、点数は高ければ高いほど良いでしょう。しかし、実際に仕事や旅行の場面で中国語を使うときは、多少文法や単語が完璧でなくても、相手に意図が通じさえすればそれで十分なはずです。だとすれば、勉強の段階からそこまで完璧さにこだわる必要があるのだろうか、と感じる人もいるかもしれません。
ここで一度、逆の立場から考えてみましょう。例えば、日本語を話そうとしている外国の方に、こう言われたとして、あなたには意味が通じるでしょうか。
「わばちえぎぱがしていふ」
さすがにこれでは、まったく通じませんね。では、こちらはどうでしょうか。
「わたち えぎ ぱがしていふ」
この場合、「わたち」の部分はおそらく「わたし」と言いたいのだろうと推測できますが、それ以外の部分は依然として意味不明です。
では、もう一段階、崩れ方を減らしてみます。
「わたち えぎ さがしている」
発音や文法はまだ少しおかしいままですが、これならおそらく「私は駅を探している」と言いたいのだろうと、意味を理解することができるはずです。
このように、完璧でなくても言葉が通じる場合は確かにあります。しかし、文法や発音の崩れがだんだん大きくなり、ある一線を越えてしまうと、とたんに相手にはまったく通じなくなってしまうのです。
実際に中国語を使う場面というのは、往々にして突然やってきます。事前に予習をする時間もなく、緊張のあまりどうしても完璧には使いこなせない、ということは誰にでも起こり得ます。ここで問題になるのが、普段の勉強で「8割くらい当てられればいい」というレベルを目標にしてしまうと、いざ本番で緊張してその8割が6割、あるいは4割にまで崩れてしまったとき、相手には何も通じなくなってしまうということです。だからこそ、普段の勉強の段階では、あえて完璧な中国語をターゲットに据えておくべきなのです。できるだけ正確な文法と単語の使い方を身につけておけば、本番で多少崩れてしまっても、なんとか意図は伝わるはずです。
弓道で的の芯を狙って矢を放てば、たとえ芯を貫けなくても、矢は的のどこかにきちんと当たってくれるのです。
【留学生の体験談】8割を目指した文法が、緊張で6割になっても通じた話
🇨🇳 昆明での語学留学、市場での買い物での出来事
昆明の市場で値切り交渉をしようとした時、緊張のあまり教室で習った文法がところどころ抜け落ちてしまいました。それでも店主のおばさんは「你是要说这个便宜一点吧?」(これを安くしてほしいってことでしょ?)と、崩れた私の中国語から意図を汲み取ってくれたのです。
もし普段の勉強で「なんとなく通じればいい」程度の完成度しか目指していなかったら、緊張でさらに崩れた時にはきっと全く伝わらなかったと思います。教室で完璧な文法を狙って練習していたからこそ、実際の場面で多少崩れても弓の的に矢が当たるように意図が伝わったのだと実感した出来事でした。